2003年 / 日本 / カラー / ステレオ / 16mmフィルム / 23分
大学の卒業制作作品
ケンジとナツミは死ぬほど退屈な毎日を送っている。
中学時代から付き合い始めた二人のマンネリは極限に達し、月曜日から土曜日が無為に過ぎ去っていく。
やがて日曜日が来ると二人は・・・。
豊田将大/ナオミ
大野仁志/立花隆之
脚本・監督:入江悠
撮影:小笠原寛慶
録音:板坂征哉
制作:福田貴弘
助監督:河野悠紀/青木克齊/平田陽亮
撮影助手:加藤航平/須田邦裕/栗原純一/若狭真記/早坂ともみ
録音助手:星野厚
美術・タイトル:小池一馬
音楽:三村和弘
協力:金子直樹/川勝仁/渡辺賢一/池田知史/山田浩司/佐藤有/斉藤敬太/熊坂雄/山本大輔/高橋香織/田嶋千耶/白石麻実子/飯田一史/駒木根隆介/池谷美帆/清水神子/武井優/阿佐見僚子
アフレコ協力:松川基之/長谷川優/嘉陽安朋/入江佳代
「制作:福田の回想」
入江監督と初めて一緒にやらせてもらった作品『SEVEN DRIVES』で、僕が調子に乗ってバイクで事故った話である。
クランクインの前日、主要スタッフとロケ地の最終確認のため、舞台となる埼玉県本庄市周辺を見て回っていた。
作品の中に、地元高校生たちが原付に乗って走るというシーンがあるため、原付を5台集めてハイエースと劇用車である軽のライトバン(製作費で買った)に無理やり積んで移動した。
そしてとあるロケ地に着いた。
そこは田畑に囲まれ、抜けがよく、車通りの少ない道だったので僕は勝手に原付を1台降ろしてみた。
僕は調子に乗って入江さんに、「高校生たちの走りを蛇行運転にしたらどうっすかね?ちょっと俺やってみますよ」なんて言って、昔良くやったなぁなんてしみじみ思いながらやってみた。
初めて乗る慣れない原付をいきなり急発進させてしまい、2、3回ハンドルをきっただけで、道路のド真ん中でものの見事に宙に舞い、地面にたたきつけられた。
僕の目に写るもの全てがスローモーションだった。
借り物の原付はライトのところが壊れ、僕の手とひじからはおびただしい量の血が出た。
2年経つ今でも傷跡が普通に残っている。
転倒してからかなり気まずく、笑っているのは入江さんだけで他の人達は特にリアクションも無く、あいつやりすぎじゃねー?寒くねー?と言わんばかりの冷たい視線を浴びせられているようだった。
実際のところ彼らがその時どう思ったかは分からないけれど、その場にいたスタッフは全員先輩で、しかも入江さん以外はまだあまり面識が無かったり、その日初めてあった先輩だったので、気まずさが半端なかった。
少しでも監督のイメージのプラスになればと思ってやったことが、結果的に入江さんの笑いしか引き出すことが出来なかったことはとても残念だった。
最低の独りよがり自爆劇だった。
福田貴弘(制作)
「福田が飛んだよ」
飛んでたよね、何処までも続く長い沿道の真ん中あたりで。ピョーンと。
道の両脇には見渡す限り新緑の畑が広がっていて、その時の福田はまるで蛙のようだった。
たしかその時、撮影の小笠原は立ちションをしに何処かへ行っていて、目撃していたのは俺と助監督と撮影助手の3人だけだった。
なぜ福田がスクーターに乗ったのかは記憶が曖昧なんだけど、「あ、福田がスクーターに乗ったな」なんて思ったら、顔が見えるか見えないかぐらいの距離でフラフラっとなってピョーンと飛ぶのが見えた。
地面に打ちつけられた福田がどんな顔をしてそのとき立ち上がったか今は全く覚えていないけれど、福田の回想を読んでなんとなく心中を慮ることが出来た。
とにかく緑の鮮やかさと道の長さが印象的な事件だった。
でも、もともと八王子のヤンキーですからね。
その後の作品の時もプリプロの段階で同じような事故を何回か起こしているし、事故の規模も傷の大きさも着実にスケールアップしている。
準備が切羽詰ってきた時に限って、福田はどこかで事故を起こし傷を負って現れる。
そのたびに頭の中の何パーセントかが、彼の起こした事故の真相とそれが及ぼした彼の肉体への影響について割かれることになり、冷笑とともに制作準備は停滞することになる。
事故が彼の言う「自爆劇」であったことをひたすら願うばかりである。
『SEVEN DRIVES』の時には、俺の実家の塀に劇用車で突っ込んだのをひた隠しにしていたし、作品完成後に清算するときには領収書の束の中に風俗嬢の名刺が入ってたこともあった。
入江 悠