三村和弘(撮影)
朝は早めに出よう。
そう思っていたが、先日の打ち上げ以降バタバタしてほとんどまともに寝ていなかったのが祟り、普通の時間に起きて出発。今回の狙いは金沢・新潟・群馬。
まず金沢に行くつもりで電車に乗り込む。資金の無い青春18切符使用のため各停である。
池袋→赤羽→高崎→水上→宮内…。
そんなルートを考えていたが寝不足が思いのほか堪え、車内ではウツラウツラ。水上を乗り過ごし小野上で起きる。
折り返す電車を山中の無人駅でバアさんと待つうちに、まず群馬は水上を散策するのもいいかなぁと思い、水上下車。ひなびた、というよりかなりサビれた感のある温泉。自分でも驚くくらいに無感動で何も目を引くモノがない。田舎の淋しい温泉郷…良さそうなもんであるが、なんというか、中途半端でフォトジェニックでないのである。
3時間歩き回り、ほとんどカメラを回さず(凄い荷物でいざ何か撮るとなると一苦労なのである)。
見切りをつけ、駅へ。
電車が新潟県を走るようになって日没。宿の心配が出てきた。
「漫喫にでも泊まればいいだろう」くらいに思っていたが全く甘かった…まず長岡で一時間と少し歩き回るが夜を越せそうな場所がない。
一か八かで新潟市まで移動。しかし、県第一の都市は、暗かった。
駅のすぐそばが風俗街で、そこだけ明るい。着いた時間には街中に客引きの兄さんがうろうろ…明らかに人目を引く大荷物なので通りを歩くのも大変である。そして漫喫はやはり無い。ロイホは夜は2時間しか滞在できない。
そしてたどり着いたのが街外れのカラオケ。初めて一人でカラオケに入った。
ここで自分の胸に手をあてて思い出してほしい。カラオケに行った時、他の部屋をチラチラ覗きませんか?酔っ払って部屋を間違えてしまいませんか?変な奴がいると友達を連れて見に行きませんか?…察して下さい。
久しぶりの18切符の旅で各停の時間感覚を忘れていた事と、“今日、何処を見る”という明確な目的意識の欠如。その二点が初日の敗因である。
明日はとりあえず新潟の、来る前に少し調べたところを重点的に回ろうと心に決めた。
今朝は早起きである。カラオケは5時閉店なので。
まだ薄暗い新潟駅。うっすら朝の光が美しい。
5時18分、電車に乗り込み新潟の中でも有数の豪雪地・津南に向かう。有名な十日町の少し奥にある集落。
昨夜の長岡→新潟は夜だったため景色が見えなかったが、電車は感動的な朝焼けの田園地帯を走る。
かなり良い。新潟・長岡間で個人的には東光寺駅が気に入った。駅に屋根が無くホームの場所によって植木も無いので、立っている人の背景にはだだっ広い田園が広がっている。
雪が降ったらこの駅はどんな風なのか、見てみたい。
9時には津南に到着。降りて「?」。昨日の水上と同じ感覚。“普通”、なのである。
しかしそこで気がついたのは民家の背が高いこと。ほとんどの民家は、雪対策なのだろう、一階が車庫や、何か”つぶし”になっていてその上に普通の家が乗っているような造りになっている。
その高さまで雪が積もれば夏と冬では全く違う町であろう。それを思うとまたテンションも上がる。
3時間ほど歩き回り駅へ。折り返す電車まで1時間位あった。
と、気付くとなんと津南駅には駅内に温泉が!。時間もある、歩き回り汗もかいた、昨日は風呂に入っていない。迷わず温泉へ。何の変哲もないあまりに普通な温泉たが、思いがけず入っただけにかなり良い。
先客のジイさんと二人、まったり1時間を過ごす。
車内より撮影しながら引き返し、個人的興味から佐渡に近い弥彦神社へ。
これが予想以上に時間を食った。途中吉田駅で乗り換えるところを、また眠ってしまって一駅折り返してしまい一時間ロス。17時前に到着。途中既に見慣れた田園風景を見ながら朝の感動を思い出し、感動的な風景というものには感動的な光、これが欠かせないのだ。と、当たり前のことを考える。
この神社、背後に聳える山々、なかなか趣があって良い。神社仏閣のもつ独特の空気感に浸る。
18時過ぎに弥彦を後にし、個人的新潟のメインイベントのため柏崎に向かう。
20時。柏崎駅で待ち合わせたのは大学の先輩であるアベフサコ。実家に戻ったと聞いてから連絡をとっていなかったが、せっかく新潟に来たのだから会わない訳にはいかないと思い、電話をしたのだ。
新潟らしい居酒屋で刺身を食べつつ久しぶりに話し、共通の話題で盛り上がり楽しい時間を過ごす。
駅まで送ってもらい宿探し。台風が来ている。
柏崎には朝までやっているカラオケも、もちろん漫喫も無い。ホテルはどこも満室。
けっこうあっさり野宿なんて考えてみる。
バスターミナルのベンチにてこの文を書いているが、雨も強くなってきた。なぜか風は砂混じりで痛い。
気温も下がってきた。台風が来ているのである。
明日は金沢に向かう。
台風は通りすぎたのか?
風は止まない。結局外では眠ることができず。傘の中に身を隠し始発で駅が開くのを待つ。
5:30に駅の待合室に入ることができ、電車の時間、7時まで泥と化す。
柏崎から金沢へ向かう信越本線・北陸本線は日本海沿いをひた走る。窓から海岸が見える台風の直後ということもあるのだろう、海は荒れている。
疲労と寝不足でやはり時々意識が飛ぶが気がつく度に外の景色に驚きカメラをむける。とくに鯨波辺りだったか、波の打ちつける海岸の岩場に鳥居が立っている場所が素晴らしい。
実はこのルートで金沢に向かうのは初めてではない。前に来たのは2年ちょっと前の初春。あの時は海はもっと鉛のような色をしていた。
金沢に着き、すぐに能登半島の根元にある内灘砂丘にむかう。砂丘というよりは砂浜の広い海岸。ここは前に来た時に一番印象に残っていた場所である。
駅から海まで徒歩15分強。にわかに降り出した雨は海に近づくにつれて次第に激しくなっていく。風も強い。
昨夜のビニール傘でかろうじてカメラだけ守りながら近づいていく。なんとか浜に入ったのはよかったが雨が酷いので撮影ができない。海の家の跡地で根気強く待つことにする。待った甲斐があり、雨は止む。
(しかしいつ見ても素晴らしいですよね、海というのは。私は海に入るのは好きではないのですが。)
1時間ほど留まり、引き返す。電車を待っていると駅の落書きの一つが目につく。
”そんなにハンバーグがほしいのか?
オレのきんにく!!
おい!オレのきんにく!!”
金沢で観光案内をみていると気多大社という神社が目を引く。なんと2100年前の創建だという国の重要文化財。昨日のお弥彦さんもありお分かりかもしれないが、私は神社仏閣が好だ。初めて行く街などでは時間があるとき探して歩く。
電車に乗り込み能登半島を北へ向かったのだが予想以上に遠い。バスの時間など考えても拝観時間内に間に合わないとわかり引き返す。もう日没の時間が近い。撮影はやめて最後の寝床をさがす。
今回の旅の中で金沢は間違いなく一番“街”である。自分が都会っ子だと言うわけではないが、大きな街にいるとホっと落ち着く自分に気付く。
北に来て初めて満喫を見つけ(これだけデカイ街でかろうじて1店!)今夜はここで過ごすことにする。
明日の帰りルートを考えてすぐに寝るつもりでいたのだが“パラダイスキス”(矢沢あい)を読破…。
「なにをしているんだ…」と思いながらも実家に何故か一巻だけあって先が気になっていたのである。
読むのが遅いので3時に就寝。狭い。
5時10分起床。全然リクライニングでないリクライニングシートでズリ落ちて寝ていた。
どのルートで帰るかさんざん悩んだが、どうせ遠出したので少し遠回りして長野に寄って帰ることにした。
長野には、善光寺がある。
数年前に友人(彼女は寺マニア)に善光寺を勧められて以来気になっていたのだが、なかなか長野へ行く機会がなかった。
5時44分に電車に乗り込み移動。三脚と縺れ合ったまま(倒れないように)寝てしまい、終点に着くたびに駅員や乗客に起こされる。11時30分に長野に着きまっすぐに善光寺へ。
見ることのできる所は全て見たいと思ったが、なにぶん時間がない。運の良いことに寺の人が「これから一日2回だけの開帳があるから見ていきなさい」と教えてくれた。一分にも満たない短い時間だが御本尊に手を合わせる。その後でかの有名な“戒壇めぐり”(本堂地下の真っ暗闇を歩く)だけして善光寺を後にする。
田園風景は長野も新潟も同じようだが、やはり長野のほうが山間だからだろうか(新潟の長野寄りの辺りもだが)起伏や段が多く見た目に面白い。新潟の“一面の田”というのも圧巻だったが。
今回の旅、ロケハン(漠然と風景探し)として成果がどれだけあったかは正直わからないが、個人的に自分が目にしたものは良いモノが見れたのではないかと思う。情報(ロケハン)としての判断は撮影したビデオと写真を仲間に見てもらおう。
現在16時30分。軽井沢をバスで走っている。あとは横川から高崎→赤羽→池袋と帰るのみ。
はやく体を伸ばして寝転びたい。