入江 悠
飛行機は西安に飛んでいく。
西安といえば中国史上もっとも有名な都、かつての長安である。
その歴史の深さに期待はおのずと高まっていく。
というのは嘘で、歴史のことなど遥か忘却の彼方であった。
個人的には中国の魅力はひたすら【ひと】である。
去年、広州と桂林に行った時に嫌というほど実感したが、中国人はパワーが違う。
町全体に物欲が溢れ、かなりの確率で人々はいい加減である。しかも声がデカイ。
そんな彼らに道を尋ね、料金交渉をしているうちにいい加減さが感染するほどである。
(街中の人がすべて高田純次だと言っても言い過ぎではない……いや、言い過ぎか)
しかし、一方で彼らの能力の高さは半端ではない。特に語学力に限れば日本人の遥か上をいくだろう。かなりの人がバイリンガル、あるいはトライリンガルである。
そんなアンビバレントな魅力をもつ【ひと】に再び会えることを期待して、僕は西安空港に降り立った。
<本日の観光>
本日は車に乗って西安の有名な観光地を見てまわる。
それにしても中国は交通という概念が日本と全く違う。
車は割り込んだもの勝ちだし、歩行者が車道を悠然と歩いていたりする。
もちろん一時停止という発想などない。
「俺が通るからお前がよけろ」的な図々しさが当たり前に通用している。
自動車教習所で一番最初に乗るシュミレーターでは、明らかに挙動不審な歩行者が突如飛び出してきたりする。あれが現実に起こっている様子をイメージしてもらえれば、それほど外れてはいないと思う。
そんな彼らの先祖がどうやって、兵馬俑や始皇帝陵などの繊細かつ豪快な仕事を出来たのか、全然わからない。
兎に角。この日は昼過ぎからあわただしく空港に行き、西安と敦煌の間にある嘉峪関という所へ飛んだ。嘉峪関へ泊まって、いよいよ明日は敦煌である。 <敦煌編へ>
<本日の観光>
敦煌から戻って再び西安へ到着。
最後の夜を満喫するため、ぶらぶらと西安の市街地を歩く。
それにしても中心地は驚くべきほど華やかである。
いたるところに光が溢れ、バブルの香りが立ち込める。
しばし珈琲などを飲みつつ人々を観察してから、今度は裏路地へ。
中心地から一歩外れると様相はガラっと変わる。光と闇の対照が際立ち、どこか奥ゆかしい雰囲気。道の端で別れ話でもしているのか、女の子が声をあげて泣き、男の子が呆然と立ち尽くしている。これは日本と同じ。
そのまま一人どこへ行くともなく歩きながら、2005年の目標などを考えてみたりする。
とりあえず中国語を勉強してみようなどと考えつつ。
<本日の観光>