2004年 / 60分作品用
日本テレビシナリオ登竜門2004 佳作
作:入江悠
結構前のことだが、突然我が携帯電話が鳴り響き、相手は唐突にこう言った。
「シナリオライターに本気でなる気はありますか?」
いや、本当はその前にいくつかのやり取りがあったはずなのだが、この言葉があまりに衝撃的だったため、僕はその前後をほとんど忘れたのである。
実はこれ冗談でも何でもなく、純粋に僕のシナリオに対する情熱・動機・本気度を確かめる相手の確認作業だったのだ。
というのは遡ること約半年前、僕は一本のシナリオをがむしゃらに書き上げ、ポストに投函したからである。
『日本テレビシナリオ登竜門2004様』と仰々しく宛名を書いて。
つまりペラ120枚ほどの我が可愛いシナリオはポストに落とされた後、瞬く間に作者たる僕に忘れ去られ、その後汐留スタイルな一室にて見知らぬ選考委員の先生方にめくられ、まためくられ、しぶとくも生き残っていたのである。
そしてその後、可哀相な子供の存在を思い出した僕はノコノコと汐留スタイルな会議室まで「最終選考」という名の面接に出かけ、子供と再会したのであった。そして久しぶりに再会した我が子は製本され、立派に育った姿で親の前に現れたのである。驚くべきことに全国から送り込まれた2000数本の子供達を蹴落とし、7本の精鋭の中の1本として。
つまり『日本テレビシナリオ登竜門2004』に僕のシナリオが最終選考まで残っていたということなのだが、いっきに結論に飛ぶと、結局我が子は「佳作」というところに落ち着いたのだった。
肝心の物語はといえば、男2人と女1人が大学の同級生の葬式に行くため車で山梨方面に向かうが、道に迷っていつまでたっても高速に乗れないという単純極まりないあらすじ。